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セカイカメラを利用することで,どのような利便性が提供できるのか。
セカイカメラで体験できることは,その場所の映像とサーバーからの情報を重ね合わせて知覚するという,まったく新しい現実感覚。一方的に,こう利用するべきと押し付けることはしない。ユーザーには新しい体験作りに参加してほしい。
例えば,あるコミュニティの中では,週末にあるテーマパークの中でセカイカメラのエアタグを自主的に張ろうという動きがあるという。アトラクションの混 み具合,トイレの場所,オムツが替えられる場所など,ユーザー自身が創意工夫し,ウィキ的な要素を持つエアタグを加えていくという。今後も,ユーザーの手 によって,ボトムアップ的に現実空間の中に情報を構築されていくだろう。
コミュニケーション・ツールとしてどう発展していくのか。
数年前に新たなコミュニケーション・ツールとして注目を浴びた3次元仮想空間の「セカンドライフ」は,ユーザー同士が同じ時間に利用していないと コミュニケーションできないという難点があった。その点「Twitter」や「ニコニコ動画」はほかのユーザーと時間を合わせる必要はなく,非同期に同じ 興味や感覚を持った人々とコメントのやり取りができる。
セカイカメラも,ほかのユーザーと時間を越えて同じ興味を共有できるツールだ。例えば,あるユーザーは近所の野良猫がいる場所で「かわいい」とエ アタグを付けた。それに対して別のユーザーが「ちょっと迷惑」とコメントを返した。最近の街中では,近所に住んでいる人と会話をするケースは少ない。セカ イカメラを使えば,時間を超え,空間を通じてコミュニケーションできる。
エアタグを遠くに飛ばすエアシャウトという機能もある。この機能を使って,喫茶店に向かって「席が空いていますか」とタグを飛ばすと誰かが返信し てくれる,自分の好きなサッカーチームのスタジアムに「勝ってる?」と飛ばすと誰かが試合の状況を返してくれるといった利用方法が考えられる。すなわち, 実空間を使って,今まで接点のなかった人たちとアドホック(1対1で)にコミュニケーションが営める。
今後,セカイカメラのAPIを公開するというが何が実現できるか。
今後「Open Air」と呼ばれるセカイカメラのAPIを開発し,公開する。用途の拡大を自分たちで100%手がけていくのは実質無理だ。さまざまなプレーヤの参加を促 し,広く利用してもらい,豊かなサービスと用途を創出してもらいたい。広々と青々とした空のようなオープンな環境を目指してOpen Airと名付けた。
Open Air APIを使えば,セカイカメラに情報を送ることも,逆に情報を取り込むこともできる。クラウドとのマッシュアップをすることで観光情報,ルート情報,健康 管理,家計簿,グルメ情報,クーポン配信などサービスが考えられる。不動産や土地の値段,賃貸物件の情報などを表示してもいい。建物をセカイカメラで見る と2階の205号室の間取りが出てきて「ここが空いてますよ」と表示するという具合だ。さまざまな場所でポケモンを探すといったゲームも実現できるだろ う。
家電との連携も考えられる。例えば,セカイカメラで冷蔵庫を写すと,「チーズがなくなりそうです」「ミルクの鮮度が落ちています」「卵が切れそう です」とエアタグが出てくる。電子レンジにかざすとレシピや近くのスーパーのセール情報が出てくる。テレビにかざすとおすすめの番組が表示され「録画しま すか」と聞かれる。
車にかざすとガソリンの残量が現れる。役所の建物にかざすと「パスポートの手続きが何分待ち」と出る。空港にかざすとフライト・スケジュールが出 る,といった形も考えられる。今ままでのように,ノート・パソコンを開いて検索する必要はなく,現実空間がネットと連携している。このような現実空間を 触ったり,操作できるという環境を「クリッカブル・ワールド」と呼んでいる。
サービス事業者がこうした環境やサービスを構築できるように,エアタグを地図上で配置し,管理できるエアタグ・マネジメント・システムも開発した。
セカイカメラの今後の課題は。
まずはエアタグのフィルタリング方法。レーティングやランキングなどの機能を付加し,ユーザーが見たくないものを表示しないようにしていく。週に1回など定期的に,必要のないエアタグを掃除するという方法も考えられる。
次に,クラウド・サーバーの強化。最初は国内向けに配信したが,近い将来には世界各国での配信も予定している。そうなると1日24時間,世界中か らアクセスが来るはずだ。サーバーは米アマゾンのEC2を使っており,多重化,ロードバランサーの設定などスケーリングをするためにテクニックを駆使して いるが,今後も増強が必要になるだろう。